水のコラム
水漏れの賠償金に相場はあるの?支払責任者の見分け方も解説
集合住宅のよくあるトラブルのひとつに、水漏れがあります。もし自分が水漏れの加害者になってしまった場合、賠償金はどれくらいになるのでしょうか。また、管理者や被害者に対して正しい対応方法も身に付けておきたいところです。
そこで、水漏れの賠償に関する知識をまとめました。賠償責任者の見分け方や、活用できる保険の種類と使いどころ・加害者になったときの対応方法もお伝えます。万が一の事態に備える知識としてお役立てください。
水漏れの被害額はケースバイケース
水漏れの被害額は、明確には決まっていません。これは、水漏れが発生した状態により、被害状況が大きく変化するためです。
水漏れが起きてすぐに対応したため、軽微で済んだケースがあれば、建物の基礎やほかの住人に莫大な被害を与えたために、高額の賠償金を請求されたケースもあります。
水漏れの被害額は、ケースバイケースであるために、相場などが存在しないと覚えておきましょう。莫大な被害を発生させないためにも、普段から水漏れの被害を防止する対策を講じることが大切です。
損害賠償以外に慰謝料を請求される場合も
水漏れ被害によって請求される費用は、損害賠償だけではありません。慰謝料を請求され、支払うよう認められたケースもあります。このような場合、損害賠償だけでなく慰謝料も用意しなくてはなりません。
こういった事態に遭遇したときは、弁護士を通して解決を図りましょう。
損害保険の中には、弁護士特約が付いているものがあります。これは、決められた条件内であれば、無料で弁護士の力を借りられる特約です。火災保険に付帯しているものも多いので、いざというときは活用できないか調べてみましょう。
水漏れの賠償責任者は故障箇所による
集合住宅における水濡れの賠償責任者は、故障箇所により異なります。誰が責任を取るべきなのかを明確に理解しておけば、万が一の事態に遭遇しても、スムーズな対応が可能です。賠償責任を負う側の判断方法を学んでおきましょう。
共有部分の故障は管理者が負担する
共有部分の故障は、管理者が負担します。共有部分に当たるものとしては、以下のものが該当します。
・居室の壁の中
・ベランダ
・屋上
・駐車場
このほかにも共有部分は多数あり、部屋や集合住宅の契約内容により異なるため、契約書や入居の手引きをよく確認しておきましょう。
水漏れの場合、配管がどこに該当するのかが問題になりますが、契約内容により異なります。賃貸契約なら、配管は専有・共有すべて管理者が責任を取りますが、分譲マンションの場合は、床下の汚水をまとめる配管などの、共有部分に該当するものだけです。配管の専有・共有部分もまた住宅ごとに異なるため、確認・理解しておきましょう。
専有部分の故障は借主が負担する
専有部分とは、契約で借りているまたは購入している部分の部屋のことです。部屋の中で起きた水漏れによる故障は、借主が負担します。
たとえば、お風呂場の水を出しっぱなしにしたり、洗濯機のホースが外れて水漏れしたりなどのケースです。このようなトラブルでほかの階に水漏れによる被害を発生させた場合は、損害賠償責任を負わなくてはなりません。
水漏れ被害の補填は損害保険で対応しよう
賠償責任者の区分について押さえたところで、次は被害補填に役立つ知識を覚えましょう。被害を発生させてしまったときは、損害保険が活用できます。ケースごとに使える保険が異なるため、間違えないようにしましょう。
火災保険が使えるケース
水漏れ被害で火災保険を使えるのは「住宅総合保険」に該当する保険に加入しており、かつ自分が被害を受けたときです。被害の具体的な内容は、以下のものが該当します。
・給排水管などの設備の故障被害
・別の階・部屋の住人による水漏れ被害
・隣家の消火活動や放水による被害
水漏れの被害を受けたときは、まずは自分の加入している保険の種類と、保障内容を確認しましょう。該当する場合は、保険会社に被害を受けた旨を伝え、補償を受ける手続きを行ってください。
個人賠償責任保険が使えるケース
次に、水漏れトラブルで使う保険が、個人賠償責任保険です。こちらは自分の過失により、ほかの部屋の住人に被害を与えてしまったときに使います。具体例でいえば、水道の閉め忘れにより水漏れを起こし、周りの部屋に水漏れによるトラブルを発生させた場合などです。
このような場合、火災保険は使えません。しかし、個人賠償責任保険に加入していれば、賠償額を保険で賄えます。もしもの備えとして、火災保険とともに加入しておくべき保険といえるでしょう。
水漏れ被害が発生したときの対応
水漏れトラブルの対応は、賠償に関する知識だけあればよいものではありません。トラブルを対処する知識も必要です。被害の発生に気が付いたときの対応方法を解説します。
被害状況を把握・謝罪する
まずは被害状況を確認しましょう。水漏れの原因やほかの部屋で発生している被害を把握してください。水が噴き出ているなどの被害が続いている場合は、止水栓を閉めるなどの応急処置も行いましょう。これ以上被害を広げないようにしてください。
自分の部屋の水漏れによる被害者がいたら、謝罪も忘れず行いましょう。できるだけ早めに謝罪し、現在の状況を正確に伝えてください。誠意ある対応をしないと、後で大きなトラブルにつながりかねません。
管理者や保険会社へ連絡する
次に、管理者や保険会社へ連絡します。水漏れの原因や場所、被害状況を細かく伝え、指示をもらってください。管理者に正直かつ正確に被害状況について伝えれば、自分が把握していない被害者を教えてくれるなどの、処理の手助けをしてくれます。客観的な判断のもと指示をしてくれるので、それに従って行動してください。
保険は状況により使える保険が違います。複数の保険会社の商品をもっている場合は、連絡する保険会社を間違えないようにしましょう。先ほど解説した内容を参考に、自分の使える保険がないか、使える場合はどうすればいいか指示をもらってください。
管理者や保険会社の対応と並行して、修理業者へ連絡することもあります。たくさんの手続きをこなすため、焦ってしまいがちですが、落ち着いて対応しましょう。
賠償金の支払いなどの手続きをする
管理者や保険会社・修理業者への対応の後、賠償金の支払いがあればその手続きを行います。多くの場合、管理者が間に入って話し合いをする形が多いです。相手の話や管理者の客観的な意見を参考にしながら、正しい対処をするよう心がけましょう。
場合により弁護士などのプロの力を借りる場合も
通常、水漏れトラブルの対応は、管理者が間に入ってくれますが、まれに賠償責任の話し合いがこじれたり、慰謝料を請求されたりするケースもあります。話し合いがうまくいかないときは、弁護士などのプロの力を借りましょう。
トラブルの状況により、一方的に何か言われたり、要求されたりすることがありますが、すぐにその場で返事をせず、弁護士に相談する旨を伝えましょう。
その場その場ですぐ返事をしないようにするのも、トラブルを深刻化させないためのテクニックです。被害者・加害者の両方が納得いく形で物事を収められるようにしましょう。
まとめ
水濡れの賠償金は、被害状況により大きく異なります。トラブルの発生に気が付き次第すぐ対応することが、被害を最小限に抑える方法です。
また、損害賠償の責任がどこになるのか・損害保険はどれが使えればよいのかなどの知識も覚えておく必要もあります。万が一のときにすぐ対応できるよう、保険や相談先などの情報をまとめておきましょう。
水漏れトラブルは、そこからご近所トラブルにつながることもある厄介なトラブルです。被害を深刻化させないためにも、適切な対応を心がけましょう。