水のコラム
トイレから下水のにおいがする場合の原因と対策

日常的にトイレを掃除していても、さまざまな原因によって下水臭が発生することが考えられます。
トイレの下水臭をそのまま放置しておくと、ニオイが強くなったり、害虫の発生につながったりするおそれもあります。
こうしたトラブルを防ぐために、本記事ではトイレから下水臭がする原因と、その対処方法をわかりやすく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
トイレの下水臭の原因と対処方法
トイレから下水のにおいがする場合、下水管に溜まったにおいが排水管から上がってきていると考えられます。そして、下水臭が排水管から上がってくるのは、主にトイレの封水切れが原因です。封水とは便器や排水路内に常に溜まっている水のことで、悪臭や虫が上がってくるのを防ぐ役割を果たします。
トイレの封水切れにはいくつかの原因が考えられます。こちらでは、トイレの封水切れが発生する原因と対処方法を確認しましょう。
また、下水臭が排水管から上がってくるのは、主にトイレの封水切れが原因です。
封水とは便器や排水路内に常に溜まっている水のことで、ニオイや害虫が上がってくるのを防ぐ役割を果たします。
このほかにも、トイレから下水臭がする原因には次のようなことが挙げられます。
トイレの下水臭の原因と対処方法
- ・原因①排水路での毛細管現象
- ・原因②排水管内の気圧の減圧
- ・原因③通気管の不具合
- ・原因④自己サイホン作用
- ・原因⑤蒸発
- ・原因⑥排水口・排水管のつまり
- ・原因⑦トイレタンク内の不具合
原因①排水路での毛細管現象
トイレの排水路部分がトイレットペーパーや髪の毛などでつまり、水が流れる面積が極端に狭くなることを毛細管現象と呼びます。毛細管現象のように、水が流れにくい状態を放置していると、封水切れが生じます。
封水切れの原因が毛細管現象にある場合は、つまり部分を取り除くことで解消可能です。ラバーカップや重曹とお酢、パイプクリーナーなどを使用してつまりを取り除きましょう。
原因②排水管内の気圧の減圧
排水管内に水が大量に流れ込むことで空気圧が変化し、封水が引っ張られて水がなくなることがあります。これはマンションやアパートなどの集合住宅で発生するケースが多く、誘導サイホン作用とも呼ばれます。原因は通気管が設置されていないことや、排水管のサイズが細いことにあるため、通気菅の設置や排水管の交換で対処可能です。
原因③通気管の不具合
トイレの排水管には、空気圧調整のための通気菅が設置されていることがあります。地震や強い衝撃により通気菅が不具合を起こすと、下水臭がトイレまで流れ込みます。
この場合は、通気菅の交換が必要です。
原因④自己サイホン作用
水を流す際、便器内に溜まるべき水と流れていく水が一緒に排水管へ流れる現象を自己サイホン作用と呼びます。
自己サイホン作用が生じると封水が溜まらなくなり、下水臭がトイレに上がってきます。
自己サイホン作用の原因は主にトイレの配管や排水管の劣化、設計ミスになるため、異変を感じたら配管を調査してもらいましょう。
原因⑤蒸発
旅行や帰省で長期間ご自宅を留守にして、トイレを使用しない状態が続くと蒸発が起こるかもしれません。
封水は、1日でおよそ1mmずつ蒸発するとされており、長期間ご自宅を空けた場合は封水切れを起こし、下水臭を発生させてしまいます。
一般的に1か月程度であれば問題ありませんが、それ以上放置すると封水切れの可能性が高まります。
なお、気温が高い日の場合は、封水が蒸発するまでの期間が短くなる点は念頭においておきましょう。
封水の蒸発を防ぐためには、ご自宅を留守にする前に便器の蓋を閉めたり、便器にラップをかけたりしておくことが大切です。
もし蒸発して封水切れを起こした場合は、レバーを回して水を流すか、コップ1杯分の水を足すと改善できます。
原因⑥排水口・排水管のつまり
排水口や排水管のつまりが原因で、下水臭が発生することがあります。これらにつまりが生じる原因には、次のようなことが考えられます。
- 排水口や排水管でつまりが起こる原因
- 大量のトイレットペーパーや排泄物を一度に流した
- トイレに流してはいけない異物を流した
- 尿石や排泄物による汚れの蓄積で、水が流れる面積が狭くなった
- 節水の影響で、排泄物を流しきれなかった
上記が原因で排水口や排水管がつまると、水が流れなくなるだけではなく、下水臭の逆流も避けられません。
また、つまりが悪化すると便器から汚水が溢れ、衛生面にも悪影響を与える可能性があります。
排水口や排水管がつまった場合は、ラバーカップやパイプクリーナーを活用して、原因となる異物を除去しましょう。
自分での対処が難しい場合は無理せず、水道修理業者に依頼してください。
原因⑦トイレタンク内の不具合
トイレタンク内の補助水管に不具合が生じることで、下水臭が発生するケースも挙げられます。
補助水管とは、封水をトイレタンク内から補充するための管のことです。
この管は通常、オーバーフロー管に差し込まれていますが、なんらかの原因で外れることで便器内に封水が溜まらなくなり、下水臭が発生するのです。
下水臭の原因が補助水管であれば、本来の位置に戻すことでニオイを解消できる可能性が高まります。
補助水管を戻す際は、トイレの取扱説明書を確認しながら作業を行いましょう。
トイレから急に下水臭が生じた場合に確認すべき点
突然トイレから下水臭がした場合は、封水切れのほかにもいくつかの原因が考えられます。
こちらでは、異変を感じた際に確認すべき点を解説します。
トイレから急に下水臭が生じた場合に確認すべき点
- 排水管や通気管の不具合
- 床排水トラップの不具合
- トイレ本体の不具合
排水管や通気菅の不具合
排水管や通気菅と壁の間に生じたすき間からにおいが漏れている可能性も考えられます。
壁の中は目に見えないため把握するのは難しいですが、調査を依頼することで発覚します。
隙間を粘土やパテなどで埋めて解消するのが一般的です。
床排水トラップの不具合
トイレの床に排水トラップがある場合は、椀がかぶせられているか、しっかりと閉まっているか確認しましょう。
不具合がある場合は、防臭椀を取り付けておくと効果的です。
トイレ本体の不具合
トイレの本体の不具合によっても下水臭につながるケースが考えられます。
たとえば、便器に強い衝撃が加わり、割れたり欠けたりして水が漏れているとにおいの原因になります。
他にも、封水が一切溜まらずに流れてしまう場合は、トイレタンク内で異常が発生しているかもしれません。
一度タンクのフタを開けて確認しましょう。
トイレの下水臭を放置するとどうなる?
トイレから発生した下水臭を放置すると、次のようなトラブルを招く可能性があります。
トイレの下水臭を放置した場合に起こりうるトラブル
- 健康を害するおそれがある
- 修理費用が高額になる可能性がある
- 建物全体に影響を与える可能性がある
こうしたトラブルの危険性を理解するためにも、本項の内容をきちんとチェックしておきましょう。
健康を害するおそれがある
下水臭を放置することで、人体に有害な影響を及ぼす可能性があります。
汚水には、人体に悪影響を与える病原菌や有害物質などが含まれているものです。
本来は排水管の中を通って外へ流れていくものですが、つまりを引き起こしていると、排水管の中にとどまってしまいます。
その状態で封水切れを起こすと、本来はトイレに上がってこないはずの下水臭が逆流してくるのです。
下水臭を長期間吸い込みつづけると、呼吸器系や消化器系に害を与えるおそれがあります。
また、下水に含まれるウイルスや微生物が原因で、感染症を引き起こす可能性もあるので放置せず、迅速に対処することが重要です。
修理費用が高額になる可能性がある
トイレに発生した下水臭を長期間放置すると、修理費用が高額になります。
下水臭に含まれている硫化水素には、金属の配管を劣化させる性質があります。
そして劣化した配管によって水の流れが悪くなることで、つまりを引き起こし、最悪の場合は配管の破損へとつながるのです。
そうなると、水道修理業者による配管工事が必要になり、結果的に数万~数十万円と高額な修理費用を支払う可能性が高まります。
建物全体に影響を与える可能性がある
マンションやアパートなどの集合住宅で下水臭を放置すると、建物全体に悪影響を及ぼすケースも考えられます。
なぜなら、集合住宅の配管系統は統合されており、ほかの部屋へと下水臭が流れ込んでしまう可能性があるためです。
下水臭は、マンションやアパートの建材として使用されている木材に染み込みやすく、一度ニオイが付着すると、簡単には除去できません。
そのため、場合によっては床材や壁材の交換へと発展するおそれがあります。
そうなると、工事を依頼する箇所が多くなり、高額な修理費用を支払うという事態も想定されます。
くわえて、下水臭によって近隣住民とのトラブルに発展することもあるため、注意が欠かせません。
こうしたトラブルを避けるために、下水臭が発生したら放置せず、早急に管理会社や大家さんへ連絡することが大切です。
トイレの下水臭を予防する方法
ここまで下水臭の原因や対処方法などを解説しましたが、何よりも大切なのは、下水臭を発生させないことです。
ここからは、下水臭を予防するために今日からできる7つの方法を解説します。
トイレの下水臭を予防する方法
- トイレを長期間使用しないときは蓋を閉める
- トイレを清潔に使用する<
- 定期的に掃除をする
- 一度に大量のトイレットペーパーや排泄物を流さない
- 便器に異物を落とさないように注意する
- 消臭剤や芳香剤を使用する
- 十分に換気する
トイレを長期間使用しないときは蓋を閉める
旅行や帰省などでトイレを長期間使用しない場合は、便器の蓋を閉めましょう。
蓋を閉めておくことで、封水の蒸発による下水臭の発生を未然に防げます。
ご自宅のトイレに蓋がない場合は、便器をラップで覆う方法がおすすめです。
また、規定の封水量よりも多めに水を足しておく方法も、蒸発の防止に効果的です。
規定の封水量は、5~10cmの深さとされています。
ただし、蓋やラップをするだけでは、完全に封水の蒸発を防ぐことができない点はご留意ください。
トイレを清潔に使用する
日頃からトイレを衛生的に使用することも、下水臭の発生を防ぐポイントの一つです。
たとえば男性の場合は、立ったままではなく、便器に座って用を足すようにするだけでも、床に尿がはねるのを防げます。
また、排泄物を流す際は蓋を閉めて流すことで、下水臭の原因となる汚水が飛び散るのを防止できます。
下水臭の発生は、上記のようなささいな行動だけでも予防できるので、日頃から意識してみましょう。
定期的に掃除をする
定期的な掃除で、トイレを清潔に保つことも下水臭を予防するうえで重要です。
トイレは使用頻度が高いので、汚れが蓄積されやすくなります。
そのまま汚れを放置すると、こびりついて落ちにくくなり、掃除に時間と手間がかかってしまいます。
下水臭の発生を予防するために、トイレ本体の掃除は2~3日に1回の頻度で行いましょう。
また、床や壁、換気扇を含めたトイレ全体の掃除は1週間に1回程度、時間をかけて行うことをおすすめします。
これらの掃除を定期的に行うと、トイレを常に清潔に使用できるだけではなく、下水臭の予防や改善にもつながります。
一度に大量のトイレットペーパーや排泄物を流さない
排水口や排水管のつまりによる下水臭を防ぐためには、大量のトイレットペーパーや排泄物を一度に流すのもお控えください。
大量のトイレットペーパーや排泄物は、一度に流すとつまりの原因になります。
量が多くなりそうな場合は数回に分けて流し、つまりを未然に防ぎましょう。
また、本来は大洗浄で流すべき量のものを小洗浄で流すと、流しきれずにつまってしまうおそれがあります。
流すものが多い場合は数回に分けて流すか、大洗浄で流すといった方法をおすすめします。
便器に異物を落とさないように注意する
便器に異物を落として、そのまま流さないようにすることも、下水臭の発生を予防するうえで大切です。
次のような異物を、トイレに流さないように注意しましょう。
水に流すとつまりを引き起こす原因になる異物
- トイレットペーパー以外の紙
- オムツ
- 生理用品
- ペットのフン
- トイレに流せる”と記載されている製品
- アクセサリー
- 子どものおもちゃ
- 文房具 など
“トイレに流せる”とパッケージに記載されている製品は、少量であれば問題ありませんが、一度に大量に流すとつまりを引き起こすおそれがあります。
また、アクセサリーや文房具などの異物を誤って水に流すと、排水管の中で引っ掛かり、水の流れを妨げてしまいます。
トイレを使用する際は、便器に落としそうなものはあらかじめ持ち込まないようにしましょう。
トイレタンクの上に消臭剤や芳香剤を設置している方も、注意が必要です。
これらも誤って水に流すと、つまりの原因になります。
そのため、消臭剤や芳香剤はあらかじめ別の場所に収納しておきましょう。
消臭剤や芳香剤を使用する
下水臭をなかなか除去できない場合は、消臭剤や芳香剤を使用してニオイを緩和する方法もおすすめです。
消臭剤や芳香剤には、さまざまな種類がありますが、除菌・抗菌効果があるものを選ぶと、より高い消臭効果が期待できます。
ただし、消臭剤や芳香剤を設置しても下水臭を根本から解決できるわけではないので、その点は念頭においておきましょう。
繰り返しになりますが、消臭剤や芳香剤をトイレタンクの上に設置すると、便器内に落として、つまりの原因になる可能性があるので、必ず棚に収納してください。
十分に換気する
トイレの換気を十分に行うと、下水臭の除去に効果的です。
換気扇がある場合は、トイレを使用したあとに換気扇を回して空気の入れ替えを行いましょう。
また、回しているあいだはトイレの扉を開けておくと、空気の通り道ができてよりスムーズに下水臭を除去することが可能です。
なお、換気扇を回している際に窓を開けると、外気を優先的に取り込んでしまい、下水臭の除去が十分に行われない可能性があります。
トイレの下水臭が取れない場合は水道修理業者に相談を
トイレからの下水臭は、これまで解説してきたようにさまざまな原因で発生します。
軽いつまりや封水切れ程度であれば、ご自宅にあるもので対応可能ですが、なかには原因がわかってもどう対処すべきかわからないケースもあるでしょう。
少しでも自分での対処が難しいと感じたら、プロの水道修理業者に相談するのが安心です。水道修理業者は、トラブルの解消だけではなく、原因の追究まで丁寧に行ってくれます。
無理に自分で作業を行うより、時間もお金もかからないで済むケースも珍しくありません。
トイレの下水臭で水道修理業者に依頼したほうがよいケース
下水臭は発生する原因によって除去が難しいものもあり、無理に対処しようとするとつまりや水漏れにつながる可能性があります。
次のような場合は、水道修理業者への依頼を検討してみてください。
トイレの下水臭で水道修理業者に依頼したほうがよいケース
- 自力では解消できないケース
- ニオイ以外にも異常があるケース
- 同じトイレを長期間使用しているケース
自力では解消できないケース
前項の対処方法や予防方法を試しても下水臭が除去できなかった場合は、水道修理業者に依頼しましょう。
自分で無理に対処しようとすると、つまりの悪化や水漏れなどにつながる可能性があります。
下水臭以外にも以下のような症状が起こっている場合は、水道修理業者への依頼をご検討ください。
水道修理業者に依頼したほうがよいケース
- 便器内から「ゴボゴボ」と音がする
- 水を流すと気泡が見られる
- 水の流れが悪い
これらの症状は、つまりや排水管の損傷によって引き起こされることがあります。
そうなると自分での対処は困難で、水道修理業者による修理が必要です。
水道修理業者に依頼することで、つまりの原因を早急に突き止めてくれるだけではなく、下水臭の除去もスピーディに行ってくれます。
ニオイ以外にも異常があるケース
下水臭の原因を突き止められない場合は、排水管や床下になんらかの異常が発生しているかもしれません。
排水管は床下や壁の中に取り付けられているので、異常が発生している箇所を外から見つけるのは困難です。
また、修理には専用の工具や技術が必要であるため、慣れない方が作業を行うのは症状の悪化を招くおそれがあります。
下水臭がしても原因がわからないときは、そのまま放置すると排水管の破損や床下からの水漏れにつながるおそれがあるので、早急に水道修理業者に依頼しましょう。
同じトイレを長期間使用しているケース
つまりや水漏れなどは見られず、下水臭のみ発生している場合は、トイレの経年劣化が原因と考えられます。
以下のような特徴が見られる場合は、トイレが経年劣化していると判断してもよいでしょう。
トイレが経年劣化していると判断できる特徴
- 便器がひび割れている
- 便器内の汚れが除去できなくなった
- 水が流れにくくなった
また、このほかにも便器と床の接合部であるパテや、便器と床下の排水管を接合するために用いられる排水管フランジの劣化によっても、下水臭が発生します。
10~15年使用している場合は、早めに水道修理業者への点検を検討してみてください。
トイレの下水臭やつまりにお困りならきょうと水道職人へ
トイレから下水臭が発生する原因には、毛細管現象や封水の蒸発などさまざまです。
下水臭を放置すると悪化が進み、人体に悪影響を及ぼすだけではなく、高額な修理費用を支払うことになります。














