水のコラム
トイレットペーパーはなぜ水に溶けやすいのか?紙の構造とつまりを防ぐ対処法【水道職人:公式】

普段ご家庭のトイレで何気なく使用しているトイレットペーパーですが、なぜ水に入れるとすぐにバラバラになるのか疑問に思ったことはありませんか。
同じ紙製品であるティッシュペーパーと見た目はよく似ていても、水に触れたときの性質は驚くほど異なります。
実はこの性質の違いを知らないまま、ティッシュペーパーを代用したり、一度に大量のトイレットペーパーを流したりすると、トイレの排水管がつまる深刻な水まわりトラブルを引き起こすことがあるのです。
本記事では、トイレットペーパーがなぜ水に溶けやすいのかという科学的な理由と、万が一つまってしまったときにご家庭ですぐ実践できる解消手順を分かりやすく解説します。
トイレットペーパーが水に溶けやすい2つの理由

トイレットペーパーは、厳密に言うと砂糖や塩のように水へ溶けて消滅するのではなく、水流の力で繊維が細かくほぐれる構造になっています。
なぜ水に触れると瞬時にほぐれるのか、ティッシュペーパーとの違いから2つの理由を見ていきましょう。
理由①水に触れると繊維がほぐれやすいよう作られているため
紙は、パルプの繊維同士が結びつくことで形を保っています。
トイレットペーパーは、水に触れたときに繊維同士の結びつきが弱まり、水流によってほぐれやすいよう作られている紙です。
一方ティッシュペーパーは、鼻をかんだり水気を拭いたりした際に破れにくい性質が求められます。
そのため、水に濡れても強度を保つ湿潤紙力増強剤(しつじゅんしりょくぞうきょうざい)が使用されており、一般的なティッシュペーパーはトイレットペーパーのように水中でのほぐれやすさがありません。
トイレに流すとつまりの原因になるため、流せるタイプとして作られた製品以外はトイレへ流さないでください。
関連記事:ティッシュをトイレに流すとつまる?つまりやすい理由と正しい対処法
理由②JIS規格で定められた厳しいほぐれやすさの基準
トイレットペーパーには、日本産業規格のJIS P 4501でほぐれやすさの試験方法と基準が定められています。
試験では水中で試験片を攪拌し、紙がほぐれることで低下した回転数が所定の回転数まで100秒以内に回復するかを確認しているのです。
ご家庭の便器には、下水からの悪臭などを防ぐために水をためるトラップが設けられており、排水路は湾曲した構造になっています。
トイレットペーパーが水中でほぐれやすく作られていることは、便器や排水管をスムーズに流れるために重要です。
トイレットペーパーとティッシュペーパーの比較表
見た目が似ている2つの紙製品について、構造や水に対する性質の違いを以下の表にまとめました。
| 比較する項目 | トイレットペーパー | ティッシュペーパー |
| 水に濡れたときの特徴 | 水流によってほぐれやすい | 濡れても破れにくいよう作られている |
| 湿潤紙力増強剤 | 水にほぐれやすくするため使用しない | 濡れたときの強度を保つため使用している |
| 水の中での変化 | 水流で素早くバラバラに分散する | 水を含んでも形が残り塊になる |
| トイレへの流しやすさ | 適量であれば水洗トイレに流せる | 流せるタイプを除きトイレには流せない |
水に溶けやすいトイレットペーパーでもつまる原因と解消手順

水にほぐれやすいトイレットペーパーであっても、一度に大量に流したり、必要な洗浄水量より少ない水で流したりすると、便器内や排水管でつまりが起こることがあります。
トイレットペーパーがつまって便器内の水位が上がった場合は、続けて水を流さず、トイレに適したラバーカップを使用してつまりの解消を試みる方法があります。
作業前にラバーカップやゴム手袋、床を保護するビニールシートなどを用意してください。
- 便器内の水位が高い場合は、洗浄レバーを操作せず、水があふれないようにする
- 水位が高すぎる場合は、手動ポンプなどを使用して便器内の水を減らす
- 床への飛散を防ぐため、便器の周囲をビニールシートなどで保護する
- ラバーカップのゴム部分が水に浸かる状態にし、便器の排水口へ密着させる
- ラバーカップをゆっくり押し込み、勢いよく手前へ引く動作を数回繰り返す
- つまりが解消したら、洗浄レバーは使用せず、バケツで少量の水をゆっくり流して正常に排水されるか確認する
つまりを解消しようとして、便器へ熱湯を注ぐことは絶対に避けてください。
陶器製の便器は急激な温度変化によってヒビ割れや破損が生じる恐れがあるため注意が必要です。
関連記事:トイレのつまりにお湯は効果的?正しい使い方と注意点
トイレットペーパーの性質に関するよくある質問

トイレットペーパーの選び方や使用方法に関しての疑問にお答えします。
Q1.海外製の分厚いトイレットペーパーを使用しても大丈夫ですか?
海外ブランドのトイレットペーパーには、日本国内で販売されている製品でも厚手で水にほぐれにくいものがあります。
使用する場合はパッケージの表示を確認し、一度に大量のトイレットペーパーを流さないようにしてください。
Q2.トイレに流せる掃除用シートもトイレットペーパーと同じくらい溶けやすいですか?
「トイレに流せる」と表示された掃除用シートやおしりふきでも、ほぐれやすさは製品によって異なります。
一度に流せる枚数についても製品ごとに指定があるため、パッケージに記載された使用方法や水量を守って流すことが重要です。
大量に使用した場合は、無理に便器へ流さず、製品の表示に従ってゴミとして処分しましょう。
Q3.シングルとダブルではどちらが水に溶けやすいですか?
シングルとダブルのどちらが水にほぐれやすいかは、一概には言えません。
これは、シングルとダブルでは紙の厚さや強度などの設計が異なり、シングルの紙をそのまま2枚重ねたものがダブルというわけではないためです。
どちらを使用する場合も、一度に大量に流さないことがつまりの予防につながります。
参照:よくあるご質問 トイレットティシューについて┃エリエール
紙の性質を正しく理解してつまりのない快適なトイレ環境を守ろう

トイレットペーパーが水にほぐれやすいのは、水中で繊維が分散しやすいよう作られており、JISにもほぐれやすさの基準が設けられているためです。
水に強いティッシュペーパーを流さないことや、一度に大量のトイレットペーパーを流さないことを心がけるだけで、トイレつまりのリスクは減らすことができます。
もしラバーカップを使用してもつまりが解消しない場合や、誤って水にほぐれにくい紙類を流してしまった場合は、無理に水を流さないでください。
「きょうと水道職人」では、トイレのつまりに対する薬品洗浄や高圧ポンプ、状況に応じた便器の脱着作業などに対応しております。
ご家庭での対処で改善しないつまりにお困りの際は、いつでもお気軽に水道職人までご相談ください。
※本記事でご紹介している方法は、一般的な対処法の例です。
作業を行う際は、ご自身の状況や設備を確認のうえ、無理のない範囲で行ってください。
記事内容を参考に作業を行った結果生じた不具合やトラブルについては、当社では責任を負いかねます。
少しでも不安がある場合や、作業に自信がない場合は、無理をせず専門業者へ相談することをおすすめします。














